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日本舞踊
2019年10月28日



吾妻流日本舞踊手 吾妻節穂 さんに敬意を込めて。




日本舞踊の「くるまざ」という公演が国立劇場であり、
私の敬愛する 吾妻節穂 さんが出演されたので拝見しました。

日舞の世界は、今の日本では人気もなく地味なもので、大変に難しい芸事のひとつであるので、素晴らしい舞踊手が育つ環境も少ないし、
ましてや天才と呼べるほどの方の舞踊を目にする機会はほとんどありません。
私が知る数少ない、というか生きてるうちにこれほどの名舞踊手を観ることはたぶんもうないだろうと思っています。

彼女が踊ると、あっという間にその世界に引き込まれ、
素踊り(派手な衣装や小物を使わない)なのに、釣り人の釣糸や魚の動きが見えるほどの細かい波動は、大きな劇場の端から観ていても息を呑むほどで、時間の経つのも忘れてしまいます。
初めて観たときの衝撃から今もなお私の心を惹き付けてやまないです。

今回は、「保名」という演目で、地方さん(ミュージシャン)の演奏も地味なものですから、大抵の場合はつまらなくて退屈するのですが、それをあっという間にしてしまうアルテの凄さ。
そのすぐ後に。同じ演目を歌舞伎座で坂東玉三郎さんが踊られましたが、その時に初めて、玉三郎さんの舞踊が王道の日本舞踊ではないことが解りました。
もちろん、彼の舞踊としては素晴らしいものですが、日本舞踊と歌舞伎女形の美学とでは、また異なるアルテなんだと解りました。

吾妻節穂さんはかなりご高齢で、また再度観る機会があるのかどうか、、、

本当に地味に伝統芸能を磨いてこられた貴重な方が、あまり多くの人に知られていない現状は、非常に哀しく思いますが、
政治的に知名度を目的として活動する人とは一線を画す真のアルティスタの姿を眼にする機会に恵まれたことにとても感謝しています。


どのジャンルの舞踊手でも、
波動を起こし人を惹き付けることができるのは、瞬間のペソ(重み・深み)があるかどうか。その瞬間の連続(コンパス)なんだなと思います。
舞踊がその人の所作の一部なのかどうか、その一瞬一瞬の理解の深さと鍛練の厚み。
役者が、台詞が頭から落ちてくるうちはダメで、腹から出てこないとその役は自分に落ちていない、のと同様に。

Posted at 11:34 │あおい