「邪心により人の目は曇っている。そこにある姿をそのまま見れば、美は痛い程に心に飛び込んでくるものだ。ものの姿とは、即本質なのだ」
堀越千秋
「ご承知の通り、不誠実と噓(うそ)と金の世の中である。
では、諸賢はその中で何をしているのかというと、他ならぬ金勘定と小さな出世の工夫にすぎまい。
こんな社会はダメだダメだと愚痴る対極の理想に、では一体何を置くべきなのか?
クイズは時間の無駄だから答えを言う。それは美である。
美と快は違う。美はむしろ痛に近い。そこが美と美人の違いだ」
「この地上は、悲しみの場所だ。悲しみこそ美しい。だから痛いのだ。痛い痛い。
スペインのフラメンコの詞に、『何故だろう? おれは自分の苦しみよりも他人の苦しみの方が身に痛い』というのがある。これぞ『悲しみ』だ。
自分自分自分。自分ばかりがテーマの人の心に「悲しみ」はない」